生活していく上で、様々な契約を結ぶ場面があるでしょう。
障害を持つ子が、しっかり判断して契約できるのか考えると心配になるでしょう。
今回は、成年後見制度という制度を解説していきます!
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、認知症や知的障害などによって判断能力が不十分な人が、生活をする上で不利益を被らないように、成年後見人が本人の代わりに適切な財産管理や契約行為の支援を行うための制度です。
成年後見制度において支援をしてもらう人を被後見人、支援をする人を成年後見人と呼びます。
成年後見制度の利用が必要なパターンは主に2種類あります。
- 本人だけでは必要な契約や手続きが行えないケース
- 詐欺被害や親族による財産の使い込みなど財政管理が心配なケース
成年後見制度の種類
成年後見制度には、大きく分けて2つの分類があります。
法定後見・・・家庭裁判所に後見人を選任してもらう
任意後見・・・本人が成年後見人を指名し契約する
どちらも行う業務にほとんど違いはありませんが、
本人があらかじめ信頼できる人に頼みたいという希望があれば、元気なうちに任意後見の手続きをするといいでしょう。
法定後見
法定後見は、家庭裁判所によって成年後見人が選任されるもので、配偶者や子供、孫などが後見人の選任を申し立てることで手続きが開始されます。
法定後見では、支援を受ける人の判断能力の程度ごとに後見、保佐、補助と分類されます。
後見 | 保佐 | 補助 | |
対象となる人 | 常に判断能力が欠けている人。日常の買い物をを含め常に援助が必要な状況。重度の知的障害者など。 | 判断能力が著しく不十分な人。日常的な買い物はできるが、不動産や車などの大きな財産の購入や、契約締結などが困難な状況。中度の知的障害者など。 | 判断能力が不十分な人。日常的な買い物だけでなく、家や車などの大きな財産の購入、契約締結も一人で可能だが、援助があったほうが良いと思われる状況。軽度の知的障害者など。 |
支援をする人(法定代理人)の呼び方 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
法定代理人に与えられる権利 | 代理権 | 同意見・代理権 | 同意見・代理権※代理権のみが付与される場合もある |
代理権付与に対する本人の同意 | 不要 | 必要 | 必要 |
法定代理人の同意が必要な行為 | なし | 重要な財産行為 | 重要な財産行為の一部 |
遺言に関する規定 | 意思能力が一時的に遺言ができる程度に回復した際には、医師2人以上の立ち会いのもと可能 | なし(規定なしに遺言が可能) | なし(規定なしに遺言が可能) |
任意後見
任意後見は、今後判断能力が低下する恐れがあり、将来が不安な人が健康なうちに自ら後見人をあらかじめ指名し、契約を結んでおくものです。
実際に判断能力が低下したときには、後見人として契約を結んだ人が家庭裁判所へ申し立てることで手続きが開始されます。
成年後見人になれる人
成年後見人になるために資格は必要ありません。
欠格事由に該当していなければ誰でも成年後見人になれます。
【欠格事由】
・未成年
・過去に後見人を含む法定代理人を解任されたことがある人
・破産者
・被後見人に訴訟を起こした人とその配偶者
・行方不明者
・その他不正行為を行うなど後見人に適さない経歴がある人
法定後見人の場合は、後見人を選任するのは家庭裁判所です。希望した人が選任されるとは限りません。
また、希望した人が選任されなかったからといって申し立てを取り下げることはできないので注意が必要です。
成年後見制度を利用するメリット
成年後見制度を利用する際のメリットは以下です。
・被後見人の不利益になる契約を結ぶことを防ぐことができる
・被後見人が契約を結んでしまっても、不利益であることが分かれば後から解消可能
・必要な手続きや契約を進めることができる
・被後見人の財産を詐欺や家族の使い込みから守ることができる
・相続発生時に財産の把握ができる
成年後見制度を利用するデメリット
成年後見制度を利用するデメリットです。
・後見人としての義務を全うしなければいけないため、手間がかかる
・後見人として行動しなければいけないため、柔軟な対応が難しくなる
・後見人に報酬が発生するため、費用がかかる
・成年後見制度を一度利用すると、本人が亡くなるまで続く(預金口座の解約・不動産の売却など目的があり利用した場合でも、当初の目的を達成しても成年後見制度は続きます。)
最後に
成年後見制度を理解し、将来の不安に備えましょう!
法定後見制度と任意後見制度の必要書類や申請方法についてはこちらの記事でも解説しているので参考ににして下さい!
成年後見制度の他にも、生活における契約の判断やお金の管理についてサポートしてくれる支援事業があります。こちらの記事も参考にしてみてください!
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